「転生したらスライムだった件」なろう版と書籍版の違い

転スラのネタバレオンリーです。書籍5巻以降のなろう版との違いを扱っています。

なろうでも書籍でも語られなかった3つのエピソードその1

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※完全ネタバレです。自己責任で。

 

「紅に染まる湖畔事変」

 

なろうでも書籍でも幾度となくその事件の名だけは登場する帝国史上最悪の悪魔被害。

原初の白が受肉しかけて小国が滅びた。かろうじて帝国軍が勝利し白の受肉を阻止し収束したといわれているが、実際、軍医班として従軍したリムルの元で白と同僚となるシンジが帝国軍の展開が早すぎたと話すように謎の多いこの事件。てか、本編で語られてないから何があったの?って気になっていました。実際、白が理由もなく湖が紅く染まるほど赤子までも大量虐殺したとは思えない。悪魔の女王であったとしても。

テスタロッサがリムル配下になるほんの数年前の出来事である。

 

かつてシルベリアという名の帝国の属国があった。穏やかな気候と美しい湖を囲んだ古い街並みが美しい人口1万の小さな国。これといった特筆もない小国が穏やかながらも帝国の中で長きにわたって生きながられていたのには理由があった。

それはこの地域を領地に持つ原初の白ブランと古の王族との密約にあった。気高い悪魔の女王は自分が納得できる依代とする肉体を欲していた。王族はその肉体を作るべく何世紀に渡って尽力し、原初の白はこの地の災いをしりぞけ国を守っていた。

そして時は経ち、白銀の髪に赤い目の原初の白に似た美しい姫君が誕生した。彼女はブランシェと名付けられ大事に育てられていた。しかし10歳の時、貴族出身の側室アーミラが第二王妃に選ばれてからは一変する。身分の低い家系出身の母シンティアを蹴落とし自分の娘アーシェラを姫にと企んでいたのだ。その思惑が功を奏しブランシェの立場は苦しくなっていった。ブランシェの乳母やメイド達も次々解雇され、理解者がほとんどいなくなった。そして12歳の誕生日を迎えた日に母が死んだ。

悲しみに暮れ泣きはらす彼女にやさしく語り掛ける女性がいた。

「何をないているのかしら?」

彼女は人外だ。悪魔との契約のために王族には見えざる者が見える能力を持つものが生まれていた。その能力を持つブランシェは小さい時から人外は関わらずに見えないふりをするように教えられていた。そしてい今まではそれに従っていた。しかしその美しさに思わず

「綺麗」と反応してしまう。そして現在の心境を露呈する。自分は誰にも必要とされていないと嘆くブランシェに彼女はアタシにはアナタが必要だと話し、交わした密約を語りはじめる。

体をもらう代わりにひとつ願いを叶えると話す彼女にブランシェは一言だけ告げる。

「私とお友達になってくれませんか?」

 

15歳になったブランシェは王妃候補に返り咲いていた。気品漂う姿に知性。体に白を宿し彼女から手ほどきを受けるブランシェは王妃にふさわしく成長していた。そんなブランシェと帝国の大国ナムリウスへと繋がる大貴族ガリアス侯爵家の次男ジーニアスが婚約した。彼がシルベニアに流入する商品で国が潤い競馬に似た娯楽を持ち込み国民から支持も厚い。ハンサムで行動力溢れる彼に惹かれるブランシェ。彼が次男であるだけに彼が婿入りしてこの国の王になれば帝国内で強固な立場が築ける。誰もがそう思ってるなか、白はジーニアスに不信感を抱いていた。彼女は配下(のちのモス)に探りを入れさせた。白の悪い予感は的中していた。彼はアーミラの父と繋がりブランシュを蹴落としアーシェラを王妃に迎える策略を描いていた・・・これも嘘である。彼は悪魔とこの国の密約を知っていた。この国の王になる気は最初からなかった。帝国での地位を築くためにブランシェを国外に連れ出し悪魔との契約を破棄させるという手柄が目当てだったのだ。帝国の機甲部隊(カリギュリオさんとこの部隊)を近郊にあらかじめ展開させ、悪魔が暴れれば討伐の大義名分も経つ。ブランシェの事は数年楽しんだ後捨てるとまで言い切った。

 

そしてブランシェ16歳の誕生日。血の惨劇が始まる。

 

ジーニアスは自国にブランシェを連れ出すと言い出した。婿入りすると思っていたブランシエにはまさに晴天のへきれきだった。悪魔との盟約、自分たちにとって神である白を裏切る行為を王や一部王族たちは猛反対した。しかし地道なジーニアスの根回しで反対するものは少数だった。悪魔との盟約など迷信だと。平和が長く続きすぎたのだ。

唯一の友達(白)から忠告されていたのに・・・絶望するブランシェ。白の説得もむなしくブランシェは白にすべてを託し自ら命を絶った。そして契約にのっとり白はブランシェの肉体を引き継いだ。

絶望の中で王たちは滅びを覚悟で悪魔召喚の儀式をはじめていた。そこにブランシェ(白)が現れた。「神の望みのままに」。白は自分との約束、ブランシェを守ろうとした王たちや赤子のような意思のないものには苦しみのない死を、裏切者には苦しみ抜く死を。配下(モス)たちがとらえたジーニアスには特に地獄を与えた。

帝国軍と悪魔たちの壮絶な戦いの中、城内にたどり着いた騎士たち。しかしすでに白は空虚に見舞われていた。ブランシェはいない、この国ももはや終わり。現世にとどまる理由もなくなった白は戦いでブランシェの体が傷つくのもきらい体から抜け出し戦いを放棄した。白はブランシェの体をこの地に埋葬し、ブランシェの魂を王をはじめ彼女に最後まで寄り添った者たちの魂とともに空へ解きはなった。

「サヨナラ。また、どこかで」

 

仕組まれた罠だったんですね。この話を読んでテスタロッサさんがさらに好きになりました。やはり怖いのは魔物より人間なんですよねぇ・・・・。いつもは魂を食らうテスタロッサさんが魂を解き放つシーンなんて泣けました。

帝国はこれで勝ったと思っていたんですねぇwまぁ誰も知らない真実ですから仕方ないか。

実際はもっと内容が濃いのでぜひ読んで欲しいです。テスタロッサが戸惑ったり、慌てたりしていますw

 

設定資料集13・5掲載「紅に染まる湖畔事変」より抜粋。

 

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次回はこのお方の隠れざるお話を。

 

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